気にならない病気
私は朝昼晩、365日ご飯をこぼす。
別にこぼそうと努力しているのではないが、いつもそのような結果になってしまうのである。そして妻は朝晩365日注意する。
(愛妻家と言えど、流石に会社まで、妻を連れて行くわけにもいかず、残念ながら、昼飯時には注意する者がいない。)
要は妻の注意など何も聞いていない。一応「うん」と頷いているが、美味しければそれで良いのだ。何万回注意を受けようが、これ又、一向に気にならない。
気にならないといえば、
服は染みを作ろうが、
傘を忘れようが、取り違えようが、
家が雨漏りしようが、
妻が病気になろうが(殺されるが・・・。)
一向に気にならないのである。
「そんな一寸したこと気にすることないじゃないか。」
「そんな一寸したことなら、気に出来るでしょ。」
よく繰り返される妻と私の問答である。
そんなある日、心優しい妻は心配のあまり、
「お医者さんへ行ってらっしゃいよ。鬱病って気にするからなるんでしょ。貴方は逆に気にならない病気よ。一寸だけ気に掛けるようになる薬を貰って来るのよ。現代の医学ですもの、きっとありますよ・・・。」
「おっ、そうか。」
